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どうなるデジタル課税(その2)

バイデン政権に移行し、イエレン財務長官がデジタル課税の協議に米国が復活する意向を指名してることで、今後の決着の内容と時期に関心が高まっている。柱1の対象がGAFAなどの超過収益を上げる企業の税負担を新たな課税権をもって市場国に配分する方向性に加えて複雑な制度を幅広く導入することによる負担と混乱を避ける現実的な路線が期待されていることから、多くの日系企業が即対応を迫られることはないと思われる。一方柱2に関しては、柱1が連結財務諸表ベースの収益率から計算するのに対し、税務管轄(国又は地域)毎に所在する構成企業の実効税率を合算ベースで計算し、最低税率未満か否かを判定する必要がある。欧米系の企業が税務機能が中央集中的に管理統括されているのに対し、日系企業の多くは各法人の経理部門が税務担当するケースが多く、国別報告書の作成、マスターファイルの資本系統図の作成などの一部を除いては本社にある税務関連情報は限定的となっている現状がある。柱2はIIR(Incoe Inclusion Rule)を利用して、最低税率に満たない税務管轄の税負担をIIR制度を持つ国の親会社で不足税額を課税(Top up tax)する制度が核となっているが、JVなどの中間親会社(POPI, Partially Owned Intermediate Parent)などがある場合には、そのPOPIの税務管轄でIIRがあれば、そこでTop up taxが行われ、なければ低税率国への支払いについて条約の恩典を認めない方式により最低税金の負担を求める制度が検討されている。日系企業の国際税務対応の現実は、移転価格税制とタックスヘイブン対策税制の対応など一部に限定されており、欧米系の企業がBEPSの温床となってるような国際的節税対策の経験がほぼないことから、これらの制度を理解して運用する負荷が懸念される。粒度を細かく対応する場合には、システム導入が不可欠になると思われるが、コロナからの回復期で投資余力があるかは疑問であることから、まずは、国別報告書の情報をもって柱2の対応画必要となりそうな海外子会社(構成企業)の絞り込みを行い、合算ベースの実効税率、所在地国繰越控除額(Local Tax Credit)、合算税額繰越控除(IIR Credit)、適用除外額(Carve Out)などを試算して制度の理解に努めることから始めることが必要となりそうだ。