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デジタル課税 柱2(ミニマムタックス)モデル規定への対応は?

OECD(経済開発協力機構)は、BEPSの包括的枠組みの承認を経て2021年12月20日にデジタル経済から生じる税務の課題―グローバル税源浸食防止に関するモデル規定(柱2)(英文:Tax Challenges Arising from the Digitalization of the Economy-Global Anti-Base Erosion Model Rules (Pillar Two))を公開した。モデル規定では、合算課税制度を有する国に最終親会社がある場合には、当該最終親会社がGloBE情報申告書の提出義務が生じ、当該申告書にて国別に所在する構成企業(連結財務諸表の子会社等)の合算ベースの実効税率、実体所得を超える超過所得を計算し、実効税率が15%に満たない場合には、その満たない割合に超過所得を乗じた金額を補充税額(Top-up Tax)として当該最終親会社が国別に計算して納税する義務を課している。日本では外国子会社合算課税制度が採用されていることから、補充税額について合算課税制度同様な仕組みで日本に納税することになる。しかしながら、外国子会社合算課税制度は、子会社ごとに租税負担割合を計算し、経済活動基準を判定し、その結果全部合算あるいは、受動性所得のみを対象とした部分合算対象として、本邦の税率を用いて計算するが、モデル規定では財務会計上の所得と税金費用及び繰延税金費用に一定の調整を行い国別に対象となる構成企業を合算して計算することとしている。また、外国子会社合算課税制度は日本の最終親会社が日本に子会社があり、当該子会社の外国子会社の合算課税制度への対応は日本の子会社が行っていたのに対し、モデル規定では最終親会社で対応する必要が生じる。対象となる最終親会社はBEPS行動13により作成及び提出が求められた国別報告書(Country by Country Report)と同様であるため、連結財務諸表上の収入が1000億円以上の企業が対象となる。モデル規定の対応は、従来の税務申告書作成上で求められるスキルからに加えて、財務会計上の税効果会計の知識並びに国ごとの構成企業の合算プロセスの構築といったあらたなスキルとツールが求められることになる。モデル規定では2023年開始事業年度を初年度としていることから、今後令和5年の税制大綱により、日本における具体的な対応が明らかになると思われるが、外国子会社合算課税制度とミニマムタックスとの2重対応及び2重課税に係る負担軽減措置を期待したいところである。